愛は元気です   

アパートの家賃が下がってから、少しだけ生活が楽になった。家賃が下がった理由は、アパートの立地的条件が悪くなったとかそういうものではなく、隣に住んでいる大家のババアに私が気に入られているというただそれだけの理由である。大家は60歳を越えたババアなのだが、90年代に活躍した女性歌手の谷村有美によく似た顔立ちをしていて妙な色気を持っている。昔、谷村有美でしか抜いていなかった時期があるぐらいに谷村有美のことが好きな私も大家のことが正直好きだ。そんな大家が毎朝アパートの共同部分の掃除や、ゴミ捨て場に無造作に捨てられたゴミの分別を大変そうにしているのを見かけたので、時間がある時は大家に代わって私がするようにしていたら、アパートの更新時にそれをちゃんと見ていた大家が家賃を大幅に下げてくれたのだ。
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大家の私への愛は家賃だけでは終わらなかった。自分の過失でアパートの鍵を無くしてしまった私は、防犯の為に新しい鍵を自己負担で付け直すことを大家に報告しに行った。そうすると「アパートの為にいろいろしてくれているあなたにお金は払わせないわよ」と鍵の取付費用を大家が全額負担してくれることになった。お金を出してもらう関係で鍵の取付には大家も立ち会ったのだが、その時に鍵屋が出した何種類かの鍵の中から一番安いのを選ぼうとした私に対し「人にお金を出してもらう時に遠慮をするのはとても失礼なことなのよ。それなら出さないでくださいと最初から断りなさい。出してもらうのなら一番高いのを選びなさい。私に恥をかかせないで」とかっこいい言葉を投げかけてくれた。その瞬間だけババアが聖闘士星矢のアテナに見えた。その結果、私の家の鍵は世界でも屈指の防犯能力を持つヨーロッパの会社の鍵になってしまった。
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以上のように、大家はパトロンに近い支援を私にしてくれているので、こちらとしても「抱いて」と言われたら、いつでも抱ける心構えはしているし「家賃分腰を振りなさい」と大家にしか言えないエロリクエストをしてきたら58000回腰を振る準備はできているのだが、幸か不幸か今のところそのようなイベントは起きていない。大家は子供に先立たれたので孫も居なくて寂しいとか言っていたので、それならいっそ私を養子にしてくれないかとも思っているのだが、仮に私を養子にした場合、普通の結婚を諦めている私は、タイの孤児院の子供を養子に迎え、その子をキックボクサーにするつもりなので、せっかくできた待望の孫がタイ人という地獄を大家には味合わせたくないので養子だけにはならないようにしたいと思う。
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家賃が下がったそんな我が家に遊びに来た友人が、私のitunesの再生回数TOP25を調べるという悪趣味なことをしたら、再生回数ダントツ1位の曲が「カリフォルニア」という曲だった。いったいどんな曲だと試聴してみた友人から「曲名がカリフォルニアで、サビでもカリフォルニア~♪と歌っているような曲をこんなに聴いているお前が自殺しないか心配だ」とよく分からない心配をされたのだが、再生回数2位の曲が「WALK」なのまで見せられたら、確かに死を予感させる何かを自分に感じた。結論を言えば、私も友人も自殺しないか心配である。
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実は最近転勤をしたのだが、転勤してかなり太った。太った原因は仕事のストレスからの食べ過ぎである。そのストレスが顔に出ているのかは知らないが、最近いろいろな人に自殺を心配されるので、激痩せしてもっと心配させてやろうという悪意と、そろそろ痩せようと思っていた決意も重なり、久しぶりにダイエットを開始した。前述したストレスにより職場での休憩時間にバカ食いをしてしまう為、まずはそこを抑えることにした。とは言っても、意志が弱い私では長続きはしないだろうから、ちょっとしたゲーム感覚で食欲を抑えることにした。幸いにも、私の職場には、社員しか知らない感電スポットが何個かあるので、食欲が高まった時はそこに手を突っ込み、軽く感電をすることで食欲をかき消すことに成功した。大仁田厚の電流爆破デスマッチをあれだけ否定していた私が、大仁田と同じように電流に助けられるのだから人生とは皮肉なものである。
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プチ感電ダイエットの効果で順調に体重は落ちていったのだが、こんなに毎日感電していたら、瓶に浸した猛毒を長年突き続けることで拳に毒を宿す毒手拳の理論でいけば、そのうち私の右手には電流が宿り、その電流を自由自在にコントロールできるかもしれないという考えが頭をもたげるようになった。それからはダイエットの為ではなく電流拳の完成の為に来る日も来る日も感電し続けたのだが、仮に電流拳を会得したとしても、相手に触れないと電流を流せないし、自分が電流を流したことも簡単にバレてしまうので使い勝手が非常に悪い。そうなるとオナニー中にちょっとだけ電流を流してチンコをピリピリさせるピリピリオナニーをプライベートで楽しむか、風俗にて、風俗嬢に「ちょっとピリッとするよ?」と言ってから電流手マンを炸裂させて驚かすということぐらいしか使い道がないことに気づいて私はひどく落ち込んだ。
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落ち込んでばかりもいられないので前向きに考えることにした。どうせなら若くて活きのいいマンコに電流を流すよりも、ババアのマンコに電流を流した方が健康に良いかもしれない。腰痛治療として腰に電気を流す治療と同じようなもんだろうと私は捉えた。それならば、いつもお世話になっている前述の大家のババアのマンコに電流を流してあげよう。いきなり自分のマンコに電流を流された大家はどんな顔をするのだろうか。一回びっくりした後に、風街ろまんのジャケットの大瀧詠一のような顔をしそうな気がする。あんな顔されたら本気で惚れてしまいそうだ。そんなことを夢想しながら今日も明日も私は感電し続ける。それが私にとってのカリフォルニアなのだ。たぶん。
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# by tsume_kirio | 2015-10-09 18:54 | 人生の終わり | Comments(8)

その辺の問題   

「どうして俺は働いているんだ」と自問自答しながらも、なんだかんだで今日も働いている。ただ、いつでも辞める覚悟だけはできているので、カバンの中には常に辞表を忍ばせてある。日付の欄だけ空白にしてあるので、いざ提出となった時は提出日だけ記入すれば30秒で完成する優れ物である。退職理由については、素直に「もう飽きた」と書きたい所だが、一応社会人らしい理由にする為「体力の限界、気力も無くなり、退職することとなりました」と、天下の大横綱である千代の富士の引退理由を使わせて頂いている。
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今の職場で働いていて辛いことと言えば、夏場に外から侵入してくるセミへの対処である。虫が大嫌いな私にとっては悪魔の襲来であるので、バイトとのミーティング時は「セミが出た場合はあなた達を見捨てます」と、昨今の政治家にも見習って欲しい明確さで自分の意志を打ち出している。セミが出た場合は、先ほどの宣言通り事務所内に閉じこもり、ドアの下から三千円をスッと差し出し「あとはよろしくね」という大人の対応を取る。さっきまで「助けてくださいよ!ひどいですよ!」とドアをノックしていたバイトが「頑張ります!」と力強い声でセミに立ち向かっていく。私はバイトとセミの戦いを監視カメラで見守りながら、安全な事務所内のパソコンでソリティアを遊ぶ。これが社会人だ。俺はここまでのし上がったのだ。
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セミの襲来より嫌なのが、会社から年に一回の受診を義務付けられている健康診断である。病院に行くこと自体は嫌いというより好きな性質なのだが、どうにもこうにも採血検査が苦手なのである。私が軽い先端恐怖症というのもあるが、少しの時間でも注射針という異物が自分の体内に入っている感覚が、とにかく気持ち悪い。単純な痛みではなく精神的な理由なので始末におえない。
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今年の採血検査も大変だった。まずは担当の看護婦さんの名札をチェックしたら「藤田」と苗字しか書いていなかったので、すぐに下の名前の「由美子」を聞き出す。自分の血を抜く人間の名は下の名前まで知っておきたい。戦国時代、自分の首を切られる前に、相手の名前を聞いてから心置きなく首を切られた戦国武将と同じ心意気である。そして問診へ。「藤田さんは僕で今日何人目の採血なのか」「単純に採血は得意なのか」「看護婦何年目か」「今日の藤田さんのバイオリズムはいかがですか」と矢継ぎ早に質問を投げかけ、藤田さんという人のことを少しでも知って信頼関係を築く。その上で「いざ!」と気合を入れてから採血へ。「セミのあの尖った口で採血されないで・・・ちゃんと注射針で採血してもらえるだけ・・・僕は幸せ者ですよね」と言っているうちに無事に採血は終わった。映画「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」で、主人公の少年が満天の星空を眺めながら「人工衛星に乗せられて死んだライカ犬より、僕のほうがまだ幸せだ」と言う場面があるのだが、あの時の少年の気持ちが私にはよく分かる。私には何でも分かる。
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何とか採血に強くなれないか色々と考えてみた。自分だけ血を抜かれるという不公平さが嫌なので、私の血を抜く看護婦も、私と同時に血を抜かれるというシステムを取ってくれないものか。そうだ、もう一人看護婦を呼んでもらおう。いや、せっかくもう一人看護婦が来るのなら、その看護婦に私の手を採血中ずっと握っていてもらいたい。いや、男は手を握ってもらうぐらいで勇気なんぞ出ない。最悪フェラチオ、出来るなら挿入させては頂けないものか。私が体内に注射針を入れられるのと同じタイミングで、私もチンコを口か女性器の中に挿入できれば、立場的にイーブンな状態なので心の平静を保てそうだ。掛け声は「いっせーの!」で。だが、看護婦は天使では無いのでそんなことはしてくれないだろう。そうなるとこっそりと採血中にオナホールを装着するしかない。その場合はせめてものエチケットとしてオナホールに病院の十字マークを貼っておくことにしよう。
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勤務中にこんなことばかり考えてるうちに、そんなこんなで今の職場で働き出してから三年目の夏が終わった。私がセミ退治を強要したおかげでバイトが辞めたわけではなく、単純な人手不足でほとんどの時間を職場で過ごした夏だった。仕事以外では家で筋トレを始めた。リラックスした環境で筋トレを行う為に、筋トレ中は部屋でお香を焚いていた。私はスクワットが嫌いなので、何とか楽しくスクワットをできないかと考えた結果、全裸になり、床に置いたお香焚きの上でスクワットをすることで、筋肉を鍛えると同時に陰部に当たるお香の煙で、己のチンコとアナルを良い匂いにするという一石二鳥のオリジナルスクワットを開発した。
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アナル周辺から良い匂いがすることは自分への自信につながる。自信が付いたら誰かに自慢したくなる。良い匂いのチンコとアナルを自慢できる相手は風俗嬢しかいない。私は風俗街に繰り出した。いつものように「ガーネット・クロウのボーカルによく似た女の子居ませんか?」とリクエストしたがあえなく撃沈。岩崎ひろみによく似た風俗嬢に事情を説明すると、話の分かる女の子で「嗅ぐ!嗅ぐ!」と彼女は私の陰部にボスッと顔をうずめた。そして「すごく良い匂いだよ!」とはしゃいでくれた。「この匂いすごく好き!私も買おうかな・・・なんて名前のお香?」と聞かれたので「・・・・・・ヒマラヤ」と答えた。私に続いて彼女も「ヒマラヤ・・・・・・」と言った。風俗のプレイ中に「ヒマラヤ」という単語が2回出たのは史上初ではないか。ひとしきり匂いを楽しんだ後、私のチンコを口でくわえこんだ彼女は、素晴らしい舌技で私を攻めた後に「良い匂いがしてもしなくてもチンコはチンコだね!」と言った。すごく深い言葉だ。この夏一番の素敵な言葉頂きました。
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そんな2015年の夏だった。ここ最近、私が自殺するんじゃないかと心配してくれる人が多いのだが、プロレスラーは死んじゃいけないのでプロレスファンも死んじゃいけないのだ。だから私は死なない。


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# by tsume_kirio | 2015-09-11 08:54 | 仕事 | Comments(3)

断り切れずにヤラせちゃう女   

我が家を定期的に訪問してくれていたエホバの証人が新しい人に代わった。前任のおばさんは森昌子によく似た儚げな佇まいが素敵だったのに、新任は女子プロレスラーのハーレー斉藤によく似た派手な短髪おばさんになってしまった。やはりこの世に神は居ないらしい。

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私は無宗教であり宗教自体にも何の興味が無いのだが、雑誌や包装紙等の紙の匂いが大好きな人間として、エホバの証人が毎回持ってきてくれる会報誌の紙の匂いと質感はパーフェクトだった。そんな素晴らしい物をタダで届けてくれる御礼にと、彼女の話を真剣に聞いてあげていたら、これは脈ありと感じたのか定期的に訪問してくるようになった。しかし、子供の頃、新興宗教に染まっていた隣家が柿や無花果を「神の実」と呼んで庭で育てているのを知り、全ての神の実をエアガンで撃ち落して遊んでいた私がおとなしく話を聞き続けるわけもなく「相手の技を受けて心肺停止状態になりながらも蘇生したプロレスラー馳浩は、死後復活したとされるキリストと同じとは言えませんか?髪型もキリストヘアーだし」という独自の「馳=キリスト論」を叩きつけたり、宅配ピザの到着を待っている時に訪問を受けた際は「ではピザが届くまでの少しの時間、神の話とやらを聞かせてもらいましょうか」というような大変失礼な態度を取っていたにも関わらず、彼女は根気強く訪問を続けてくれた。

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そんなけなげな彼女の姿勢に軽く欲情してしまった私は、合法的に彼女に触れる為、宗教に嵌っている人ならこう言えば受け入れてくれるだろうと「私は今とても寂しくてたまりません。あなたを抱きしめてもいいですか?」とハグをお願いしたことがあったのだが、彼女は今まで見たこともない真剣な表情で「あなたはそんなに寂しさを感じていないはずです」と言い放った。自分の全てを見透かされた気がしてとても恥ずかしかった。そんなたくさんの思い出がある彼女ともう会えなくなるんだなと思うと胸が痛くなった。これは何年ぶりかに感じる「寂しい」という感情だ。しかし、いつまでも悲しんでるばかりでは、こんな私とちゃんと向き合い続けてくれた彼女に悪い。これからはハーレー斉藤と素敵な思い出を作っていこう。



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夏です。






宗教をしている女性との思い出は他にもある。九州の大学に通っていた時にお付き合いをさせてもらったヤリマンが、家族ぐるみで怪しい宗教をやっていた。その宗教の主な教えは「毎朝5時に起きてをお祈りをする」「ふすまや障子の敷居は神聖な物なので絶対に踏んではいけない」「鳥類はペットとして飼ってはいけない」といういかにもカルト宗教なものだった。彼女はひろみという名前だったのだが、自分のことを「ヒロン」と呼ぶように求めてきた。宗教上の教えで最後に「ン」が付く名前が縁起が良いからだそうだ。「ヒロン」というよりは「バロン」と呼んだ方がしっくりくるヤリマン顔だったのだが、ご機嫌を取るために「ヒロン」と呼んでいた。性欲盛んな大学生の男にとって、ようやく手に入れた自由にセックスができ、しかもスケベとくる彼女は、ヤリマンだろうが、自衛隊3人と4Pしていようが、怪しい宗教に染まっていようが手放すことができない貴重な存在だった。さらに初体験が車椅子の女性だった私にすれば、ようやく二足歩行ができる女性とセックスできるのだから尚更離したくはなかった。私はガンタンクよりガンキャノンとセックスがしたかったのだ。
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そんな彼女の全てを許し続ける私なら大丈夫と思ったのか、信仰する宗教の総本山に参拝に行くので一緒に行かないかと誘われた。さすがに少し身じろぎもしたが、総本山という言葉の魅力的な響きに負けて同行することにした。所詮カルト宗教の総本山なんてたいしたこと無いだろうとたかをくくっていたら、総本山と呼ぶのにふさわしい大きな大きなお寺が目の前に現れた。城門のような壮大な門を通って境内の中へ。悪戯心に火がついた私は門の敷居を思いっきり足で踏んでみた。その瞬間、先ほどまで笑顔で出迎えてくれていた信者達の顔色が変わり、この場でリンチされるのではないかというような物々しい雰囲気で取り囲まれた。「もはやこれまで」と覚悟を決めた私は、どうせやられるなら使いたかったプロレス技を全て繰り出して死のうと、最初に突っ込んで来た信者に橋本真也の水面蹴りをかます心意気で睨み合った。その雰囲気を打ち破ったのは「彼はまだ済まされていないのです!」というヒロンの大声だった。その言葉を聞いた信者たちは「済まされていないなら仕方がないですね・・・」と私を許してくれた。無事に門をくぐった後「済まされてないって何?」とヒロンに問いかけたが無視された。
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簡単な受付の後、ヒロンと一緒に三畳半程の小さな部屋に入れられる。「これは・・・いよいよ済まされてしまうのか?」と緊張する私の前に柔和な顔立ちの男性信者が現れ、優しい口調で自分達の宗教について丁寧に説明してくれた。「それでは御本尊として崇められている現人神様からのメッセージを見てください」と備え付けのテレビのスイッチをON。画面に現れた十勝花子によく似たババアは「光」とか「救い」とかいかにもな話をするのだが、明らかにカンペを読んでいることが分かる俯きがちな目線がとても痛々しく、私はただただ悲しい気持ちになった。VTR終了後、神妙な顔で「実は・・・このメッセージを撮影された3日後に現人神様は交通事故で天に召されてしまいました・・・」と信者が言った時は笑いを堪えるのが大変だったが、現人神が交通事故に遭って「ギャー!」と言っている様子を頭の中で想像したら堪えきれずに結局笑ってしまった。部屋を出た後、教師役の男性信者から「これであなたは半分は済まされましたからね!」と声をかけられた。もうこれ以上私を笑わさないで欲しかった。
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帰宅前に、祈祷をする為に本堂へと通された。本堂は中央に白塗りの賽銭箱が置かれ、その上に巨大な釣鐘が設置されているという異様な光景だった。信者達はお布施を入れた後、その鐘を鳴らしてお祈りをするという流れだった。しばらく観察していると、人によって鐘を鳴らす回数が全然違うことに気づいた。「鐘を鳴らす回数は自由なの?」とヒロンに聞くと「たくさんお布施をした人は鐘を鳴らせる回数が多くなるのよ」と教えてくれた。なんて単純で素晴らしいシステムだと感心した。もし私が資産家なら全財産を寄付して鐘を16連打しかねない。人間の欲求をうまく刺激した恐ろしいシステムである。もしかして、本堂に通してくれたということは、お試しで私も鐘がつけたりするのかと期待したが「済まされていない人は鐘がつけない」と一蹴された。半分済んでいるのにケチ臭いことだ。あの鐘を突くために半年だけ入信しようかなと危ない考えがよぎったのだが、ヒロンが大きな鐘を突いている姿を冷静な感情で見た時「帰りに1発だけやらせてもらって別れよう」と決心した。その決心をさせてくれたことだけでも現人神には感謝せねばなるまい。
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その決心はちゃんと守られることとなり、私とヒロンは無事に別れることができた。総本山という面白い場所に連れて行ってもらったこと、総本山の帰りにラブホテルに寄ってセックスをするというなかなかできないことを体験させてくれたことでヒロンは私にとって忘れることのできない大切な女性である。どうせ短い人生、一度ぐらいは宗教に嵌っている女性とお付き合いすることをお勧めする。





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# by tsume_kirio | 2015-08-15 14:35 | 宗教 | Comments(5)

太陽がいっぱい   

行きつけのオカマバーにて「40歳を間近に控えた男がプロレスしか趣味が無いのは悲しいから、新しい趣味を持ちなさいな」とリッキー・フジ似のオカマに言われた。先日、路上占いをしてもらった時に「あなたの好きな物、大事にしている物を3つ教えてください」と占い師に言われ「プロレス、シーチキン、鳥そぼろ」と即答するぐらい私にとってプロレスは大切な趣味なのであるが、これから先の人生を家族を持たずに一人で生きていく可能性が高くなりつつある今こそが新しい趣味を見つける絶好の時なのかもしれない。お金の掛からない趣味として「見守る」という趣味をオカマから薦められた。「見守る」というのは、区民体育館や運動場等で開催されているママさんバレーや少年サッカー大会のような催し物を最初から最後まで見学すること。特に持ち物チェックをされることもなく入場できて、関係者じゃなくても関係者風の佇まいを醸し出しておけば、特に何も言われることなく最後まで見学できるそうだ。楽しそうに動き回る子供、我が子をいとしい目で見つめる家族。そんな光景を見つめていると幸せな気持ちになるし、自分の人生を見つめ直す良い機会にもなるという。
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就職試験で「尊敬する人物は?」と面接官に聞かれた時「武藤敬司です」と即答していたほど、私が敬愛する人物であるプロレスラー武藤敬司。私は彼のサイン会に何回か足を運んだことがあるのだが、実際にサインをもらうことはしなかった。緊張してうまく話せないというのもあるのだが、私の顔を見た武藤が、脳の記憶細胞に私の顔を記憶することに耐えられないのだ。汚らしい私の顔など記憶しないでいいので、新しい技のアイデアとか楽しい思い出を記憶してもらいたい。私なんぞの為に武藤の貴重な細胞を使ってはいけない。ではサインをもらわないで何をしていたのかと言えば、両膝に爆弾を抱える武藤が無事にサイン会を終えることができるのかをサイン会終了まで遠くから見守り、武藤が会場から姿を消すのを確認し「よかった…」と胸を撫で下ろして家路に着いていた。そんな私には「見守る」という趣味はうってつけと思われる。余談ではあるが、もしフェラチオをすることで武藤の両膝の痛みが無くなるのなら、私は世界最高のフェラをする自信がある。それだけは譲れない。
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「見守る」趣味の記念すべき第一歩として、近所の区民体育館で開催されていた少年剣道大会を見守ることにした。オカマに聞いていた通り何のボディチェックも無く会場内へと進み、会場全体を見渡せる二階席に陣を張る。目ぼしい保護者のお母さんを視姦しまくった後に、目に一点の曇りも無い少年達の競技風景、声を枯らさんばかりの大声で我が子を応援する家族達のひたむきな姿を見る。自分の心の闇が少しずつ晴れていくのを感じた。これは一生楽しめる趣味になりそうだ。
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祖父、父、子供という親子三代で剣道をやっていると思われる家族の姿をぼんやりと見つめながら、自分の祖父と父について久しぶりに考えてみた。祖父は太平洋戦争で米兵を千人殺したと言い張っていたホラ吹き野郎だ。私の地元の香川県は雨が少ない地域なので、水源貯蓄の為に県内の至る所に溜め池がある。その中にかの弘法大師空海が作った大きな溜め池がある。その溜め池を作る時に、工事を邪魔してきた妖怪を空海が封じ込めたとされるほこらがあるのだが、ある時酒に酔った祖父が飲酒運転でそのほこらを壊してしまった。妖怪が解放されたその年、香川県はダムが干上がりかける程の水不足に陥った。その原因を作った男とされた祖父は地域の人々から「雨を止めた男」という映画「太陽を盗んだ男」に匹敵するような素敵な名前で中傷された。祖父は色々と理不尽ないじめも受けた。その中でも私がよく覚えているのが、祖父と一緒にうどん屋に行った時、祖父がどれだけ「かけうどん!かけうどん!」と注文しても、その声は無視されてうどんを出してもらえなかったことだ。うどんを頼んでもうどんを出してもらえない。この世にはそんな悲劇が起きるのだ。そんないじめに負けずに頑張った祖父のことを私は尊敬している。
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父は自分が毛嫌いしているTHE BOOMの宮沢和史のことを沖縄音楽を汚した「侵略者」と呼んでいる偏見の塊である。子供の時に「空を飛びたい」と子供らしい願いごとを言った私の服の中にオニヤンマを入れ、背中で暴れるトンボの気持ち悪さで泣きじゃくる私に「空を飛ぶのも大変だろう」と言った悪魔である。「情けない男になるな」と口うるさく私に説教していたくせに車の当て逃げで捕まった前科者である。そんな三拍子が揃った父だったので、私は憎悪の感情しか持ち合わせていなかったのだが、ある時に父の全てを許すことができた。罪を犯した父は職を失ったのだが、知り合いの口利きと大学時代に取っていた教職免許を生かし、ボロではあるが私立高校の英語教師に再就職するというミラクルを起こした。三年程勤めた後にクビになったのだが、担任をしていたクラスの生徒からの寄せ書きを父の部屋で発見した時、私は父の全てを許した。当時髪の毛がかなり薄くなっていた父のことを馬鹿にした「あばよ!ハゲ」「いつも俺のことハゲましてくれてありがとう!」というような酷い言葉で色紙は埋め尽くされていたのだが、一人の生徒だけ英語で「into the future」と書いてあった。「ハゲ」という言葉の海の中に燦然と輝く「into the future」それを見た私も「into the future」と呟いた。その時に親父の全てを許せた気がする。他人に「into the future」なんて言葉を送られるような屈辱を受けても強く生きている父のことを私は尊敬している。
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このような呪われた血筋は私の代で終わらせるべきだと常日頃から思っているので結婚願望は全く無い。全く無いのだが自分の子供を持ってみたいという欲はある。そうなると養子という手段しかないのだが、独身に加え資産も少ない私には養子縁組審査はまず通らない。そうなると取れる手段はただ一つ。タイのムエタイジムでキックボクサーになる為に日々努力している子供の生活費を援助する里親になるのだ。日本より物価の安いタイなら何とかできるかもしれない。月に一回タイから送られてくる息子からの手紙。サンドバックを叩いている息子の写真。ファイティングポーズを取る息子の写真。そしてついにデビュー戦の日がやってくる。私はこっそりとタイに渡り、自分の息子の試合を見ながらリングサイドで号泣する。そして勝ち名乗りを受ける息子の顔だけ見届けたら、言葉を何もかけずに日本に帰るのだ。そのうちタイのキックボクサー界は私の援助を受けた息子達でいっぱいになり、ついには私の名前を掲げた大会が開かれる。そんな人生を過ごしたい。まさか剣道大会を見学していただけで、これから先の人生の目標が明確に定まるとは思わなかった。父に負けずに私も「into the future」しないといけないのだ。
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# by tsume_kirio | 2015-07-20 14:36 | 人生の終わり | Comments(4)

他人の為に   

今年も無事に36歳の誕生日を迎えることができた。36歳という歳は、祖父が心臓病の大手術をした歳であり、当時森林組合に勤めていた父が、松くい虫除去剤の空中散布作業で、予定と全然違う森林地域に農薬を大量散布した後、得意顔で地上に戻って来るという「森間違い」をした歳である。うちの家系では間違いなく何かが起きる歳なので気をつけたい。
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色々と誕生日プレゼントを頂いたが、その中でも同僚社員にもらった盾が特に嬉しかった。古代ギリシャの戦士達が使っていたような丸型の黒い盾。重さも硬さも普通の盾と遜色の無い出来栄えで素晴らしい。家の中で盾を構えてファイティングポーズを取ってしばらく遊ぶ。あまりに気に入ってしまったので、そのうち枕元に盾を置いて寝るようになった。朝の起き抜けで仕事に行きたくない時、盾を手に取ると戦士としての気持ちが自分を奮い立たせてくれる。私は戦士だ。今日も働くぞ。
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だが戦士にも自慰は必要だ。私は盾を持ったまま自慰をすることにした。片手に盾を持っているだけなのにいつもの自慰とは何かが違う。自慰をしながら私は夢想する。私が古代ギリシャの戦士だったらば、出陣前に将軍が演説をしている最中、盾で陰部を隠し盾の裏で自慰をしていただろう。そうでもしないとこれから死地へと向かう恐怖に負けてしまう。兵を鼓舞させようと必死で演説している将軍への忠誠心、自慰に励む弱い自分を恥じる羞恥心、国と家族を守るために死を恐れずに戦おうという愛国心、色々な感情がごった煮になった私は自慰をしながら自然と泣いていた。私と同じような気持ちで盾の裏で自慰をしながら涙をこぼしていた兵士が古代ギリシャには確かに居たことを確信した。幾千年の時を経て、彼らの気持ちは自慰行為によって私の心の中に入り込んできた。意志は受け継がれた。むせび泣きながらも自慰の頂点に達した私は「うわぁぁ!」と大声で雄たけびを上げながら盾を放り投げた。そしてその手で力強くティッシュを掴み取った。これが「戦士の自慰」というものなんだろう。
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私は自慰の最中によく泣く。しかし、これまでは自分への情けなさが涙を流す主な原因だったのだが、今回のように他人の悲しみとリンクして泣いたのは初めての経験だった。これからは自分の為だけに自慰をするのではなく、歴史に埋もれてしまっている名も無き男達の気持ちとリンクしながら自慰をするのも悪くない。明日はナチス式の敬礼をしながら、本当は違うと分かっていてもヒトラーの命令に従わなければいけなかったナチス青年将校が休日に自慰をしている時の気持ちとリンクして自慰をしようと思う。
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36歳の1年間はこういう風に生きていきます。



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# by tsume_kirio | 2015-07-05 14:55 | 人生の終わり | Comments(3)