我が家を定期的に訪問してくれていたエホバの証人が新しい人に代わった。前任のおばさんは森昌子によく似た儚げな佇まいが素敵だったのに、新任は女子プロレスラーのハーレー斉藤によく似た派手な短髪おばさんになってしまった。やはりこの世に神は居ないらしい。

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私は無宗教であり宗教自体にも何の興味が無いのだが、雑誌や包装紙等の紙の匂いが大好きな人間として、エホバの証人が毎回持ってきてくれる会報誌の紙の匂いと質感はパーフェクトだった。そんな素晴らしい物をタダで届けてくれる御礼にと、彼女の話を真剣に聞いてあげていたら、これは脈ありと感じたのか定期的に訪問してくるようになった。しかし、子供の頃、新興宗教に染まっていた隣家が柿や無花果を「神の実」と呼んで庭で育てているのを知り、全ての神の実をエアガンで撃ち落して遊んでいた私がおとなしく話を聞き続けるわけもなく「相手の技を受けて心肺停止状態になりながらも蘇生したプロレスラー馳浩は、死後復活したとされるキリストと同じとは言えませんか?髪型もキリストヘアーだし」という独自の「馳=キリスト論」を叩きつけたり、宅配ピザの到着を待っている時に訪問を受けた際は「ではピザが届くまでの少しの時間、神の話とやらを聞かせてもらいましょうか」というような大変失礼な態度を取っていたにも関わらず、彼女は根気強く訪問を続けてくれた。

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そんなけなげな彼女の姿勢に軽く欲情してしまった私は、合法的に彼女に触れる為、宗教に嵌っている人ならこう言えば受け入れてくれるだろうと「私は今とても寂しくてたまりません。あなたを抱きしめてもいいですか?」とハグをお願いしたことがあったのだが、彼女は今まで見たこともない真剣な表情で「あなたはそんなに寂しさを感じていないはずです」と言い放った。自分の全てを見透かされた気がしてとても恥ずかしかった。そんなたくさんの思い出がある彼女ともう会えなくなるんだなと思うと胸が痛くなった。これは何年ぶりかに感じる「寂しい」という感情だ。しかし、いつまでも悲しんでるばかりでは、こんな私とちゃんと向き合い続けてくれた彼女に悪い。これからはハーレー斉藤と素敵な思い出を作っていこう。



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夏です。






宗教をしている女性との思い出は他にもある。九州の大学に通っていた時にお付き合いをさせてもらったヤリマンが、家族ぐるみで怪しい宗教をやっていた。その宗教の主な教えは「毎朝5時に起きてをお祈りをする」「ふすまや障子の敷居は神聖な物なので絶対に踏んではいけない」「鳥類はペットとして飼ってはいけない」といういかにもカルト宗教なものだった。彼女はひろみという名前だったのだが、自分のことを「ヒロン」と呼ぶように求めてきた。宗教上の教えで最後に「ン」が付く名前が縁起が良いからだそうだ。「ヒロン」というよりは「バロン」と呼んだ方がしっくりくるヤリマン顔だったのだが、ご機嫌を取るために「ヒロン」と呼んでいた。性欲盛んな大学生の男にとって、ようやく手に入れた自由にセックスができ、しかもスケベとくる彼女は、ヤリマンだろうが、自衛隊3人と4Pしていようが、怪しい宗教に染まっていようが手放すことができない貴重な存在だった。さらに初体験が車椅子の女性だった私にすれば、ようやく二足歩行ができる女性とセックスできるのだから尚更離したくはなかった。私はガンタンクよりガンキャノンとセックスがしたかったのだ。
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そんな彼女の全てを許し続ける私なら大丈夫と思ったのか、信仰する宗教の総本山に参拝に行くので一緒に行かないかと誘われた。さすがに少し身じろぎもしたが、総本山という言葉の魅力的な響きに負けて同行することにした。所詮カルト宗教の総本山なんてたいしたこと無いだろうとたかをくくっていたら、総本山と呼ぶのにふさわしい大きな大きなお寺が目の前に現れた。城門のような壮大な門を通って境内の中へ。悪戯心に火がついた私は門の敷居を思いっきり足で踏んでみた。その瞬間、先ほどまで笑顔で出迎えてくれていた信者達の顔色が変わり、この場でリンチされるのではないかというような物々しい雰囲気で取り囲まれた。「もはやこれまで」と覚悟を決めた私は、どうせやられるなら使いたかったプロレス技を全て繰り出して死のうと、最初に突っ込んで来た信者に橋本真也の水面蹴りをかます心意気で睨み合った。その雰囲気を打ち破ったのは「彼はまだ済まされていないのです!」というヒロンの大声だった。その言葉を聞いた信者たちは「済まされていないなら仕方がないですね・・・」と私を許してくれた。無事に門をくぐった後「済まされてないって何?」とヒロンに問いかけたが無視された。
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簡単な受付の後、ヒロンと一緒に三畳半程の小さな部屋に入れられる。「これは・・・いよいよ済まされてしまうのか?」と緊張する私の前に柔和な顔立ちの男性信者が現れ、優しい口調で自分達の宗教について丁寧に説明してくれた。「それでは御本尊として崇められている現人神様からのメッセージを見てください」と備え付けのテレビのスイッチをON。画面に現れた十勝花子によく似たババアは「光」とか「救い」とかいかにもな話をするのだが、明らかにカンペを読んでいることが分かる俯きがちな目線がとても痛々しく、私はただただ悲しい気持ちになった。VTR終了後、神妙な顔で「実は・・・このメッセージを撮影された3日後に現人神様は交通事故で天に召されてしまいました・・・」と信者が言った時は笑いを堪えるのが大変だったが、現人神が交通事故に遭って「ギャー!」と言っている様子を頭の中で想像したら堪えきれずに結局笑ってしまった。部屋を出た後、教師役の男性信者から「これであなたは半分は済まされましたからね!」と声をかけられた。もうこれ以上私を笑わさないで欲しかった。
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帰宅前に、祈祷をする為に本堂へと通された。本堂は中央に白塗りの賽銭箱が置かれ、その上に巨大な釣鐘が設置されているという異様な光景だった。信者達はお布施を入れた後、その鐘を鳴らしてお祈りをするという流れだった。しばらく観察していると、人によって鐘を鳴らす回数が全然違うことに気づいた。「鐘を鳴らす回数は自由なの?」とヒロンに聞くと「たくさんお布施をした人は鐘を鳴らせる回数が多くなるのよ」と教えてくれた。なんて単純で素晴らしいシステムだと感心した。もし私が資産家なら全財産を寄付して鐘を16連打しかねない。人間の欲求をうまく刺激した恐ろしいシステムである。もしかして、本堂に通してくれたということは、お試しで私も鐘がつけたりするのかと期待したが「済まされていない人は鐘がつけない」と一蹴された。半分済んでいるのにケチ臭いことだ。あの鐘を突くために半年だけ入信しようかなと危ない考えがよぎったのだが、ヒロンが大きな鐘を突いている姿を冷静な感情で見た時「帰りに1発だけやらせてもらって別れよう」と決心した。その決心をさせてくれたことだけでも現人神には感謝せねばなるまい。
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その決心はちゃんと守られることとなり、私とヒロンは無事に別れることができた。総本山という面白い場所に連れて行ってもらったこと、総本山の帰りにラブホテルに寄ってセックスをするというなかなかできないことを体験させてくれたことでヒロンは私にとって忘れることのできない大切な女性である。どうせ短い人生、一度ぐらいは宗教に嵌っている女性とお付き合いすることをお勧めする。





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by tsume_kirio | 2015-08-15 14:35 | 宗教 | Comments(5)