2015年 06月 12日 ( 1 )   

坊主の親子   

大地震等の突然の事態に備え、すぐに手が届く枕元に懐中電灯等を置いて寝ている人は多いだろう。ご多分に洩れず、私も懐中電灯に常備薬等の非常用グッズを枕元に置いて眠りについているのだが、他の方と違うのは一緒にエアガンも置いてあるということだろう。このエアガンは空き巣に襲われた時の護身用に用意してあるのではない。最近、持病である左半身の痺れが起き抜けに発症していることが多いので、その痺れた体にエアガンを撃ち込む為の物だ。痺れた身体に程よい威力でめり込むBB弾が、一日をスタートさせる「活」を私の身体に与えてくれる。徐々に痺れが取れて来たら、映画「デスペラード」のアントニオ・バンデラスのようなポーズで天井にエアガンを撃ち放つ。私の一日はこうして始まる。たまに就寝時の弾補充を忘れてしまい、弾切れを起こしたエアガンを握り締めながら自分の老いを感じることもある。単純な物忘れで老いを感じるよりも弾の入れ忘れで老いを感じるような人生をこれからも生きていきたい。
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「撃つ」といえば、最近は近所のダーツバーによく通っている。うちの職場を退職された先輩が店長を勤めているので通いやすいからだ。私は満面の笑顔を虫の裏側に似ていると言われたり、鼻の形が蛇口やステルス戦闘機に似ていると言われる容姿をしているのだが、ダーツをするのに容姿は関係なく、ダーツをする権利は全ての人間に許された平等の権利なのでダーツをしている。ブルと呼ばれるダーツの的の赤色の中心部分を狙っていると、学生時代にクラスの女子達にいじめられていた記憶がどうしても頭をよぎる。当時の私は女の子のような色白の肌をしていたのだが、鼻だけは真っ赤だった。顔の配色と位置バランスが日本の国旗に似ているということで「ジャパン」というあだ名でいじめられていた。ダーツの中心部分も赤色だなんて本当に残酷なことだ。過去のいじめを乗り越えながら、私は今夜も赤いブルを狙う。そこら辺の遊びでダーツをやっている奴とは違うのだ。
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余談になるが、ジャパンというあだ名でいじめられていた過去を、音楽家のたむらぱんの深夜ラジオに投稿したら、見事に採用され、賞品としてロッテのガム「フィッツ」をたくさん送ってくれた。そのガムのおかげで当時の食糧難を乗り越えられたので、たむらぱんは私にとって命の恩人である。私は命の恩人は決してオナニーのオカズにはしないと心に決めているので、たまに無性にたむらぱんで抜きたくなる時があるのだが必死で我慢している。
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本当の余談というのはこういう話のことだ。


「老い」といえば、地元で大きなお寺をしている親戚の坊主が交通事故に遭って死にかけたらしい。死に直面した人間は優しい気持ちになれるのか、昔に私のことを狐に憑かれた可愛そうな子供とののしっていたことをひどく悔いていたそうだ。確かに親族一同が顔を揃える法事の席で「近々この子のお払いをしたいと思います」と宣言されるようなひどい仕打ちもされたが、今となってはどうでもいいことだ。こちらとしても、大晦日の夜に除夜の鐘を突いているその坊主を、物陰からエアガンで狙撃するという悪行を重ねていたのでここはひとつお互い様ということにしてもらいたい。
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それに私に謝罪をする暇があるなら、私と同い年の自分の息子の心配をした方が良い。子供の時に一緒にお寺の境内で遊んだ時、大きめのムカデを見つけた彼は「良い物見せてあげるね」と言い、納屋から釘、金槌、包丁を取って来た。ムカデを足で踏みつけて自由を奪った彼は、ムカデの身体を包丁で真っ二つにした。ムカデは非常に生命力が強い生き物なので即死はしない。真っ二つにすると頭部も尾部のどちらも狂ったように動き回るのだ。その様子を私に見せて彼はケラケラと笑っていた。「もっと面白いの見せてあげるよ」と言った彼は、新しいムカデを見つけてきて、頭部に釘を打ち付け地面に磔にした。ムカデを抑えながら身体を包丁で細かく切っていく。尾部から頭部の近くまで切り終わった後「せーの!」で彼が手を離すと、細分化されたムカデの身体達が地面を四方八方に走り回るという地獄絵図だった。あまりの惨状に沈黙している私を見ながら「線香花火みたいで面白いよね」と言っていた男が、大人になった今、徳の高い坊主として仏前でお経を唱えているのだ。これ以上の問題があろうか。私の祖父の法事の時にお経を唱えに来た彼にこのムカデの話をしたら「そんなことはどうでもいい!」と声を荒げてきたので「坊主が人の話をさえぎっていいのか!坊主なんだから人の話は最後まで聞かないと駄目だろ!」と小競り合いをした。うちは全員お払いが必要な家系なのだ。
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by tsume_kirio | 2015-06-12 18:58 | 人生の終わり | Comments(0)