2015年 01月 10日 ( 1 )   

ダライアス通勤生活   

不安障害が悪化した。昔から長距離の電車移動は得意では無かったが、4~5駅の短距離移動も苦手になってしまった。電車が止まったらどうしようという不安に襲われただけでめまいや息切れが起きる。鞄を右手に持ったり左手に持ったりという奇行を繰り返してしまう有様だ。ボボ・ブラジルのロゴ入りバッグをせわしなく持ち直している中年男の姿はさぞ滑稽であろう。まぁ最悪の場合は専用の薬を飲めば症状は治まるのでそこまで深刻ではないのだけど。
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いつまでもこんな状態なのも困るので、極力薬に頼らずに症状と戦うことにした。自分でどうすることもできない恐怖を克服する為には、愛する物から力を借りるしかない。僕にとってそれはプロレスと自慰しか無い。思い返せば3・11の東日本大震災の時も、震災後の先行き不透明な不安と目に見えない放射能の恐怖に打ち勝つ為、一人で自宅のトイレに篭り、初代タイガーマスクの覆面をかぶって自慰をすることで自分を奮い立たせたものだった。同じように不安に襲われている同棲中の彼女をほったらかし、虎になって自慰をした結果フラれた。フラれた理由は虎になって自慰をしたからだ。
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これまで東京から実家の香川に帰省する時は、新幹線での長距離移動に耐える為、常に虎の覆面を携帯していた。品川から新幹線に乗り込むと、だいたい名古屋辺りで精神に限界が訪れる。僕はおもむろに席を立ち、トイレ内で虎になり自慰をする。東から西へと移動しながら自慰をする。ヒガシカラニシヘジイヲスル。自慰の最中ふと思う。時速200キロを超える速度の中で自慰をしている今この瞬間、この新幹線に雷でも落ちたら、何かの化学反応で僕は本当の虎になってしまうんじゃないか?そんなことを思うと勇気が沸いてくるのだ。
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そんなこんなで今回も虎の力を借りることにしたのだが、通勤に使う電車にはトイレが付いていない。なので少し早めに起きて自慰をすることにしたのだが、自慰をする為に早起きをするのは終わりの始まりのような気がしたのでやめた。それならば最寄り駅のトイレで虎になろうとしたが、最寄り駅には個室トイレが一つしかない為、先客が居た場合は虎になれずに乗車しないといけない。それを避けるためにはやはり少し早起きして駅に行かないといけない。だからどうして自慰の為に早起きしないといけないのだ。さすがに産んでくれた親にちょっとだけ悪い。


そこで考えたのが、自分が乗った電車内で自分好みの女性を見つけることだった。電車に何かあった時に、この娘にだけは情けない姿を見せたくないし、君だけは守ってみせるぞと思えるだけの女性と一緒の車両なら恐怖に打ち勝てる。しかし、そう簡単に毎日素敵な女性とめぐりあうわけもない。そういう時は自分の頭の中で、ババアを若返らせたり、幼児を大人に成長させ何とか自分のマドンナを見つけるようにした。恐怖が薄らぐと余裕が出てくるもので、停車駅から乗り込んでくる女性達を厳しく審査するようになり、目的地に着くまでにベストオブマドンナを決めるようになった。ただ審査をするのにも飽きてきた僕は、押しボタンをポケットの中に忍ばせ、駄目な女性が乗ってきた瞬間にボタンを押しその女性を爆破する妄想をして楽しむようになった。そのうちどんな女性が乗ってきても爆破するだけのただの爆破魔に成り下がった。



やはり女性を爆破するのにもそのうち飽きてきて、男女問わず電車に乗ってくる人をシューティングゲームの敵だとみなし、雑魚キャラ、中ボス、大ボスに分類して撃墜するようになった。雑魚は1回、中ボスは20回、大ボスは50回ボタンを押さないと撃墜できないという設定で駅と駅の間をゲーム感覚で楽しんだ。注意深く他人を観察し始めて気づいたことだが、いかにも雑魚キャラというミジンコのような人も居れば、ダライアスの中ボスのような魚人間も居るし、風神、雷神のような大ボスの風格を漂わせた人も居る。みんながそれぞれの人生を抱えてこの電車に乗っているんだ。みんなみんな生きているんだなと思うと胸が熱くなった。胸は熱くなったが全員逃さず撃墜した。
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このように色々と試行錯誤をした末に僕がたどり着いた結論は、ちゃんと薬を飲んでから乗るか、黒人と一緒の車両に乗るかの二択だ。デカい黒人が近くに居てくれるだけで、どんなトラブルが起きても大丈夫だろうと思える。とにかく安心感が半端ではない。僕は電車に乗る度、黒人を捜し求め先頭車両からケツの車両まで歩く。黒人を見つけられない時は大人しく薬を飲むだけだ。他人から見れば辛い人生に思えるかもしれないが「今日は黒人居るかな…?黒人居てくれよ!」と思いながら駅に向かう足取りは軽いし、黒人を見つけられなかったら薬を飲むという面白い条件付きで薬を飲むのは普通に薬を飲むより楽しい。僕は幸せだ。
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by tsume_kirio | 2015-01-10 15:26 | 人生の終わり | Comments(7)