太陽がいっぱい   

行きつけのオカマバーにて「40歳を間近に控えた男がプロレスしか趣味が無いのは悲しいから、新しい趣味を持ちなさいな」とリッキー・フジ似のオカマに言われた。先日、路上占いをしてもらった時に「あなたの好きな物、大事にしている物を3つ教えてください」と占い師に言われ「プロレス、シーチキン、鳥そぼろ」と即答するぐらい私にとってプロレスは大切な趣味なのであるが、これから先の人生を家族を持たずに一人で生きていく可能性が高くなりつつある今こそが新しい趣味を見つける絶好の時なのかもしれない。お金の掛からない趣味として「見守る」という趣味をオカマから薦められた。「見守る」というのは、区民体育館や運動場等で開催されているママさんバレーや少年サッカー大会のような催し物を最初から最後まで見学すること。特に持ち物チェックをされることもなく入場できて、関係者じゃなくても関係者風の佇まいを醸し出しておけば、特に何も言われることなく最後まで見学できるそうだ。楽しそうに動き回る子供、我が子をいとしい目で見つめる家族。そんな光景を見つめていると幸せな気持ちになるし、自分の人生を見つめ直す良い機会にもなるという。
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就職試験で「尊敬する人物は?」と面接官に聞かれた時「武藤敬司です」と即答していたほど、私が敬愛する人物であるプロレスラー武藤敬司。私は彼のサイン会に何回か足を運んだことがあるのだが、実際にサインをもらうことはしなかった。緊張してうまく話せないというのもあるのだが、私の顔を見た武藤が、脳の記憶細胞に私の顔を記憶することに耐えられないのだ。汚らしい私の顔など記憶しないでいいので、新しい技のアイデアとか楽しい思い出を記憶してもらいたい。私なんぞの為に武藤の貴重な細胞を使ってはいけない。ではサインをもらわないで何をしていたのかと言えば、両膝に爆弾を抱える武藤が無事にサイン会を終えることができるのかをサイン会終了まで遠くから見守り、武藤が会場から姿を消すのを確認し「よかった…」と胸を撫で下ろして家路に着いていた。そんな私には「見守る」という趣味はうってつけと思われる。余談ではあるが、もしフェラチオをすることで武藤の両膝の痛みが無くなるのなら、私は世界最高のフェラをする自信がある。それだけは譲れない。
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「見守る」趣味の記念すべき第一歩として、近所の区民体育館で開催されていた少年剣道大会を見守ることにした。オカマに聞いていた通り何のボディチェックも無く会場内へと進み、会場全体を見渡せる二階席に陣を張る。目ぼしい保護者のお母さんを視姦しまくった後に、目に一点の曇りも無い少年達の競技風景、声を枯らさんばかりの大声で我が子を応援する家族達のひたむきな姿を見る。自分の心の闇が少しずつ晴れていくのを感じた。これは一生楽しめる趣味になりそうだ。
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祖父、父、子供という親子三代で剣道をやっていると思われる家族の姿をぼんやりと見つめながら、自分の祖父と父について久しぶりに考えてみた。祖父は太平洋戦争で米兵を千人殺したと言い張っていたホラ吹き野郎だ。私の地元の香川県は雨が少ない地域なので、水源貯蓄の為に県内の至る所に溜め池がある。その中にかの弘法大師空海が作った大きな溜め池がある。その溜め池を作る時に、工事を邪魔してきた妖怪を空海が封じ込めたとされるほこらがあるのだが、ある時酒に酔った祖父が飲酒運転でそのほこらを壊してしまった。妖怪が解放されたその年、香川県はダムが干上がりかける程の水不足に陥った。その原因を作った男とされた祖父は地域の人々から「雨を止めた男」という映画「太陽を盗んだ男」に匹敵するような素敵な名前で中傷された。祖父は色々と理不尽ないじめも受けた。その中でも私がよく覚えているのが、祖父と一緒にうどん屋に行った時、祖父がどれだけ「かけうどん!かけうどん!」と注文しても、その声は無視されてうどんを出してもらえなかったことだ。うどんを頼んでもうどんを出してもらえない。この世にはそんな悲劇が起きるのだ。そんないじめに負けずに頑張った祖父のことを私は尊敬している。
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父は自分が毛嫌いしているTHE BOOMの宮沢和史のことを沖縄音楽を汚した「侵略者」と呼んでいる偏見の塊である。子供の時に「空を飛びたい」と子供らしい願いごとを言った私の服の中にオニヤンマを入れ、背中で暴れるトンボの気持ち悪さで泣きじゃくる私に「空を飛ぶのも大変だろう」と言った悪魔である。「情けない男になるな」と口うるさく私に説教していたくせに車の当て逃げで捕まった前科者である。そんな三拍子が揃った父だったので、私は憎悪の感情しか持ち合わせていなかったのだが、ある時に父の全てを許すことができた。罪を犯した父は職を失ったのだが、知り合いの口利きと大学時代に取っていた教職免許を生かし、ボロではあるが私立高校の英語教師に再就職するというミラクルを起こした。三年程勤めた後にクビになったのだが、担任をしていたクラスの生徒からの寄せ書きを父の部屋で発見した時、私は父の全てを許した。当時髪の毛がかなり薄くなっていた父のことを馬鹿にした「あばよ!ハゲ」「いつも俺のことハゲましてくれてありがとう!」というような酷い言葉で色紙は埋め尽くされていたのだが、一人の生徒だけ英語で「into the future」と書いてあった。「ハゲ」という言葉の海の中に燦然と輝く「into the future」それを見た私も「into the future」と呟いた。その時に親父の全てを許せた気がする。他人に「into the future」なんて言葉を送られるような屈辱を受けても強く生きている父のことを私は尊敬している。
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このような呪われた血筋は私の代で終わらせるべきだと常日頃から思っているので結婚願望は全く無い。全く無いのだが自分の子供を持ってみたいという欲はある。そうなると養子という手段しかないのだが、独身に加え資産も少ない私には養子縁組審査はまず通らない。そうなると取れる手段はただ一つ。タイのムエタイジムでキックボクサーになる為に日々努力している子供の生活費を援助する里親になるのだ。日本より物価の安いタイなら何とかできるかもしれない。月に一回タイから送られてくる息子からの手紙。サンドバックを叩いている息子の写真。ファイティングポーズを取る息子の写真。そしてついにデビュー戦の日がやってくる。私はこっそりとタイに渡り、自分の息子の試合を見ながらリングサイドで号泣する。そして勝ち名乗りを受ける息子の顔だけ見届けたら、言葉を何もかけずに日本に帰るのだ。そのうちタイのキックボクサー界は私の援助を受けた息子達でいっぱいになり、ついには私の名前を掲げた大会が開かれる。そんな人生を過ごしたい。まさか剣道大会を見学していただけで、これから先の人生の目標が明確に定まるとは思わなかった。父に負けずに私も「into the future」しないといけないのだ。
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by tsume_kirio | 2015-07-20 14:36 | 人生の終わり | Comments(4)

Commented by ローション相撲 at 2015-07-20 20:28 x
into the futureがなんで屈辱になるのですか?
Commented by サセ子 at 2015-07-21 10:23 x
謝ってください
Commented by 興味本位 at 2015-07-21 10:38 x
親父英語教師クビになった話kwsk
Commented by tsume_kirio at 2015-10-11 11:47
ローション相撲さん

わかりません。本当にわからないのですが書いてしまいました。ごめんなさい。


サセ子さん

たった今、謝らせていただきました。申し訳ありません。


興味本位さん

詳しく書くことでも無いのですが、親父が担当する英語のクラス成績が県内最低レベルになったからです。

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